英語学習でよく出てくる「時制の一致」。
間接話法にしたとき、どうしてわざわざ時制を変える必要があるのでしょうか?
「He said, ‘I am tired.’」が「He said (that) he was tired.」になる。
このルール、ただの文法の決まりごとではありません。
実は、”話し手が“どの距離感で出来事を見るか”という心理的なニュアンスと深く結びついているのです。
今回は「時制の一致」の本当の意味や、時制が一致しないときの微妙な違いまで、ネイティブの感覚に迫って解説します!
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■ 時制の一致とは?
まずは基本からおさらい。
直接話法:He said, “I am tired.”
間接話法:He said (that) he was tired.
このように、主節(he said)が過去形の場合、従属節(he is tired)の時制も「一つ過去」にずらす――これが一般的なルールです。
■ そもそも、なぜ時制をずらすの?
日本語の間接話法では「彼は『疲れている』と言った」→「彼は疲れていると言った」と、時制は基本的にそのままです。
でも英語では時制がずれます。
なぜでしょうか?
1. 「出来事」と「今」の距離を表す
英語の時制一致は、“今”からどれだけ出来事が離れているかを大事にします。
- 彼が言ったのは「過去」のこと
- その時「疲れている」と言ったけど、“今”も疲れているかはわからない
だから「was tired」と過去形にして、“今”との距離感を表現しているのです。
■ 時制を一致させない場合のニュアンス
実は、英語でも時制を一致させない場合があります。
He said (that) he is tired.
この場合はどういう意味になるのでしょう?
→ 「今もまだ疲れている」ことを強調したいとき
つまり、「彼が言った時だけじゃなくて、今もその状態が続いている」と話し手が考えている場合、現在形を使うことがあります。
例:
My doctor told me that I need more exercise.
(お医者さんが言ったのは過去だけど、「今も運動が必要」だと話し手が思っている)
このように、時制の一致をしないことで、話し手が“今”とのつながりや臨場感を持たせているのです。
■ 時制の一致は「話し手の視点を表すスイッチ」
- 時制を一致させる(過去形にする):
→ その出来事は「今」とは切り離された“過去”であるという距離感を示す。 - 時制を一致させない(現在形を残す):
→ 「今」でも同じ状態が続いている、“今”も関係があるという臨場感や生きた情報を伝える。

■ まとめ
「時制の一致」は単なる文法ルールではなく、
話し手が“今”と出来事との距離をどのように認識しているかを表す大切な表現です。
英語は「話し手の視点」や「時間感覚」を言葉で繊細に表現する文化。
この感覚を意識して、時制の一致を使い分けてみましょう!
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